英語のドキュメントを読んでいて、一文だけ意味が取れない。
このとき起きることは、だいたい決まっています。その一文を選択する。⌘Cでコピーする。ブラウザの別タブを探す。翻訳サービスを開く。入力欄をクリックする。⌘Vで貼る。訳を読む。元のタブに戻る。どこまで読んでいたか探す。
7〜8手。時間にして15秒くらいでしょうか。1回ならどうということはありません。でも、英語のドキュメントを1本読むと、これを10回も20回もやることになります。
そして本当の問題は、時間ではありません。戻ってきたときに、読んでいた場所を見失っていることです。技術文書でも、契約書でも、論文でも、文章は前後のつながりで意味が決まります。1文ごとに別のタブへ行って帰ってくると、そのつながりが毎回切れます。
MacSide AIのAI翻訳は、この往復をなくします。選択して、⌘Cを2回。それだけです。
実際の動きは、選んで⌘C⌘Cだけ
動画では、Appleの開発者ドキュメントを読んでいる途中で Bluetooth という語を選択し、⌘Cを2回押しています。すると画面の上にパネルが開き、
「Bluetooth」とはなんですか?簡潔に説明してください。
という問いかけが自動で作られ、そのまま日本語の答えが返ってきます。読んでいたページはそのまま。タブも移動していません。
パネルの右上には「続けて質問」があります。返ってきた答えに対して、もう一歩踏み込んで聞くこともできます。
元のページから、一度も離れていない。 これがこの機能の本体です。
翻訳だけの機能ではありません
動画をよく見ると、返ってきているのは翻訳ではなく用語の解説です。これは設定を変えているからで、⌘C+Cで何をするかは自分で決められます。
つまり、この機能は「翻訳ボタン」ではなく、選択したテキストに対して、決めておいた仕事をさせるショートカットです。
たとえば、こんな設定ができます。
- 翻訳:選択した英文を日本語にする(いちばん使う設定)
- 用語解説:知らない単語を、文脈込みで説明させる
- 要約:長い段落を3行にまとめる
- 平易化:法律文や規約を、噛み砕いた日本語にする
- 逆方向:日本語を、自然な英語にする
自分の仕事に合わせて決めておけば、あとは選んで⌘C⌘Cを押すだけ。毎回「翻訳して」と指示を書く必要がありません。
英語の技術文書を毎日読む人なら「翻訳」に。海外のニュースを追う人なら「要約」に。契約書を読む機会が多い人なら「平易化」に。同じショートカットが、人によって別の道具になります。
15秒が1秒になると、読み方が変わる
「7手が1手になる」と書くと、単なる時短の話に聞こえます。でも実際に変わるのは、時間より読み方です。
翻訳が面倒だと、人は無意識に「本当に必要な文だけ」を訳すようになります。なんとなく意味が取れた文は飛ばす。8割わかった気がする文は、そのまま進む。
その「8割」が積み重なると、読み終わったときの理解は驚くほど曖昧になります。技術文書なら、実装してから間違いに気づく。契約書なら、あとで解釈が違うと言われる。論文なら、引用したあとに主旨が違ったと気づく。
引くのが1秒で済むなら、迷った文は全部引けます。「引くほどでもないか」という判断が消える。これは紙の辞書と電子辞書の差に近い話で、道具が軽くなると、調べる回数そのものが増えます。
そして調べる回数が増えると、読解の精度は静かに上がります。
ブラウザの中にいると、AIは遠い
「ChatGPTに貼ればいいのでは」と思うかもしれません。実際できます。でも、やってみると続きません。
理由は単純で、ブラウザの中にあるものは、ブラウザのタブ列の中で迷子になるからです。読んでいるドキュメント、参照している仕様、開きっぱなしの管理画面、Slack、カレンダー。その並びに翻訳用のタブが混ざると、それは「必要なときに開くもの」ではなく「探すもの」になります。
MacSide AIはサイドパネル型のMacアプリで、翻訳パネルは画面の上に重なって出ます。ブラウザのタブではないので、タブ列を探す必要がありません。読んでいるページは背後に残ったままです。
見終わったら閉じる。作業に戻る。AIを開くことが、作業の中断にならないという状態を作るのが狙いです。
DeepL Proとの違いと、値段の話
翻訳ツールの定番はDeepLです。訳文の質は高く、専門用語の扱いも安定していて、これを置き換える話ではありません。
違いは、どこにあるかと何ができるかです。
DeepLは翻訳に特化しています。訳文の品質が最優先で、長文の一括翻訳、ファイルまるごとの翻訳、用語集の登録といった機能が揃っています。文書を丸ごと訳す仕事なら、専用ツールが向いています。
MacSide AIの⌘C+Cは、読んでいる途中で一文だけ引くための道具です。長文をまとめて訳すためのものではありません。そのかわり、プロンプトを変えれば翻訳以外の仕事もできます。
値段を並べると、こうなります。
| DeepL Pro | MacSide AI Pro | |
|---|---|---|
| 月額 | ¥1,380/月〜 | ¥280/月(税込) |
| 買い切り | なし | ¥9,800(税込) |
| 得意なこと | 訳文の品質、文書の一括翻訳 | 読みながら1文を引く、プロンプト変更 |
| 対象 | 翻訳に特化 | 翻訳は多数機能のひとつ |
DeepL Proを1年使うと約16,500円。MacSide AIの買い切りは¥9,800で、そこにAIチャット、クリップボード管理、OCR、スクリーンショット、画面収録、画像圧縮、Macクリーナーなども含まれます。
正直に言えば、翻訳の品質だけを比べるならDeepLの方が安定します。翻訳が仕事の中心にある人や、契約書を丸ごと訳す必要がある人は、DeepLを使い続けるのが合理的です。
でも「英語のドキュメントを読むときに、たまに一文引きたいだけ」という人が、そのために月¥1,380を払い続けるのは、少し重い。その層にとっては、⌘C⌘Cで足ります。
こんな場面で効きます
- 英語の技術文書・APIリファレンスを読むとき
- 海外製アプリの設定画面で、意味の取れない項目に当たったとき
- GitHubのissueやリリースノートを追うとき
- 論文のアブストラクトを、読むかどうか判断するとき
- 利用規約やプライバシーポリシーの、引っかかる一文を確認するとき
- 海外からのメールで、含みのある言い回しを確認するとき
逆に、文書を丸ごと訳す作業には向きません。1ページ分をまとめて訳したいなら、専用の翻訳サービスにファイルごと渡した方が速いです。⌘C+Cが担当するのは、読んでいる最中の1文から数文です。
よくある質問
翻訳以外にも使えますか
使えます。⌘C+Cで実行する指示(プロンプト)を自分で決められるので、翻訳、用語解説、要約、平易化、日本語→英語など、自分の使い方に合わせて設定できます。動画で表示されているのは、用語を解説させる設定の例です。
どのアプリで使えますか
テキストを選択できる場所であれば使えます。ブラウザ、PDFビューア、メールアプリ、テキストエディタなど、アプリを選びません。
返ってきた答えに追加で質問できますか
パネルの「続けて質問」から、そのまま会話を続けられます。「もっと詳しく」「例を出して」といった掘り下げが、同じ画面のままできます。
DeepLの代わりになりますか
用途によります。読みながら1文を引く用途なら十分に足ります。文書の一括翻訳、用語集の運用、訳文の品質を厳密に求める用途では、DeepLの方が向いています。
⌘Cを2回押すと、コピー自体は普通にできますか
⌘C+Cはコピー操作の延長として設計されています。通常のコピーはそのまま使えて、2回続けて押したときだけAIが動きます。
読むことを、止めない
英語を読むのが遅いのは、語彙の問題だけではありません。引くたびに読書が中断されることの影響が、思っている以上に大きい。
1文引くたびに別のタブへ行って帰ってくる読み方では、文章のつながりが毎回途切れます。つながりが途切れると、文単位では理解できても、全体としては頭に残りません。
⌘Cを2回。パネルが開く。読む。閉じる。作業に戻る。
この短さは、単に速いという話ではなく、読むという行為を止めないための設計です。読み続けたまま、わからない部分だけを解消していく。英語のドキュメントが日常に入っている人ほど、この差は毎日効いてきます。