Macのドラッグ&ドロップには、誰もが一度はぶつかる壁があります。

掴んだまま、画面を変えられない。

ファイルを掴む。貼りたいアプリが後ろに隠れている。切り替えたい。でも手を離せば、ドラッグは終わってしまう。仕方なくEscで諦めて、ウィンドウを並べ直してから、もう一度掴む。

別スペースにあるアプリへ渡したいときは、もっと厳しくなります。掴んだままトラックパッドでスペースを移動する、という操作は理屈の上では可能ですが、途中で落とせば行方不明です。ファイルを4つ選んで掴んでいるときに、これをやる度胸のある人は少ないと思います。

だからみんな、デスクトップを経由します。 いったんデスクトップに置く。ウィンドウを整える。もう一度掴んで渡す。あとで消す。……消し忘れる。デスクトップが散らかっている理由の何割かは、これです。

掴んだものを、一度どこかに置ける

クリップボードのパネルには「登録」「履歴」「ドロップ」の3つのタブがあります。ドロップに置いたファイルは、あとから好きな場所へ持ち出せます。

MacSide AIのクリップボードパネルには、「ドロップ」 というタブがあります。ここがファイルの一時置き場です。

動画では、images.jpg(JPG / 26 KB / 660×660)が置かれていて、サムネイルとファイル情報が表示されています。そこからデスクトップへドラッグすると、ファイルがそのまま出てきます。

動作としては、これだけです。置く。あとで出す。

でも、この「一度置ける」があるだけで、さっきの壁がなくなります。掴んだものをドロップ棚に落としてしまえば、ドラッグは終わります。そのあとは自由です。ウィンドウを切り替える。フォルダを開き直す。別のスペースへ移動する。アプリを起動する。全部やってから、改めて棚から取り出せばいい。

ドラッグの「掴んでいる間」という制約から降りられるということです。

デスクトップ経由との違い

「デスクトップに置けば同じでは」と思うかもしれません。実際、やっていることは似ています。違いは3つあります。

1. 消し忘れない。 デスクトップに置いたファイルは、放っておけば残り続けます。ドロップ棚は一時置き場として使う場所なので、そこにあるものは「まだ処理中」だと一目でわかります。各項目に削除ボタンが付いています。

2. 元のファイルを動かさない。 デスクトップ経由だと、ファイルを実際に移動またはコピーすることになります。元の場所から消えたり、同じファイルが2箇所にできたりします。棚に置くのは受け渡しのためだけなので、フォルダ構成が荒れません。

3. どのスペースからでも出せる。 デスクトップは、フルスクリーンのアプリを使っているときには見えません。棚は画面の端から呼び出すパネルの中にあるので、どのスペースにいても同じように開けます。

3つ目は、フルスクリーンで作業する人には特に効きます。Final CutやXcodeやFigmaをフルスクリーンで使っていると、デスクトップは実質的に存在しないのと同じです。

クリップボード履歴と同じ場所にある、という設計

ドロップ棚は独立した機能ではなく、クリップボードのパネルの中にあります。タブは「登録」「履歴」「ドロップ」の3つ。

これは理にかなっています。コピーとドラッグは、目的が同じだからです。どちらも「これを、あっちに持っていきたい」という操作です。手段がテキストかファイルかの違いしかありません。

動画の「履歴」タブを見ると、コピーしたテキストが並んでいて、それぞれに元のアプリ名(Arc)、経過時間(6分前、7分前)、文字数が表示されています。テキストはここ、ファイルは隣のタブ。運びたいものは全部この中にある、という状態になります。

作業中に「さっきコピーしたやつ」と「さっき掴んだファイル」を同じ場所で探せるのは、地味に効きます。

こんな場面で効きます

  • メールへの添付:複数のフォルダから1つずつ集めて、最後にまとめて添付する
  • フルスクリーン作業:Figmaやエディタをフルスクリーンで使いながら、素材を受け渡す
  • 別スペースのアプリへ:スペースを跨ぐドラッグを、落とす心配なく行う
  • アップロード:ブラウザのアップロード画面を開く前に、上げるファイルを集めておく
  • バラバラの場所から集める:ダウンロードフォルダ、書類、外部ドライブから寄せ集める
  • 相手を決める前に掴む:とりあえず棚に置いて、渡す先はあとで決める

最後のものは、意外と本質かもしれません。従来のドラッグ&ドロップは、掴む前に行き先が決まっていることが前提でした。棚があると、その順番を逆にできます。

Dropoverとの違いと、値段の話

Macでこの用途の定番は、Dropoverです。ドラッグ中に画面を軽く振ると棚が出てくる、という操作が特徴的で、よくできたアプリです。

用途が重なるので、正直に並べます。

DropoverMacSide AI Pro
価格¥1,118 買い切り¥280/月 または ¥9,800 買い切り
呼び出しドラッグ中に振るホットキー
対象ファイルの一時置きに特化クリップボード・OCR・翻訳など多数機能のひとつ

Dropoverは単体で見れば非常に安いです。 ¥1,118の買い切りで、この機能だけが欲しいなら、それが最も合理的な選択です。ここを曖昧にするつもりはありません。

MacSide AIを選ぶ理由があるとすれば、それはこの機能だけを求めていない場合です。ドロップ棚に¥1,118、クリップボード履歴に別のアプリ、OCRにまた別のアプリ、と積み上げていくと、結局それぞれを覚えて、それぞれを開くことになります。

小さなアプリを1つずつ買うか、まとめて1本にするか。どちらが正解ということはなく、すでにDropoverで満足している人が乗り換える理由は薄いというのが正直なところです。

よくある質問

置いたファイルは元の場所から消えますか

受け渡しのために一時的に置く仕組みなので、フォルダ構成を荒らしません。棚の各項目には削除ボタンが付いていて、不要になったら片付けられます。

複数のファイルを置けますか

複数のファイルを順番に置いて、まとめて取り出せます。バラバラの場所から集めてから、最後に一括で渡す使い方ができます。

フルスクリーンのアプリでも使えますか

クリップボードのパネルとして呼び出せるので、フルスクリーンでもスペースを移動しても同じように使えます。デスクトップが見えている必要はありません。

クリップボード履歴とは別の機能ですか

同じパネルの中の別タブです。「履歴」がコピーしたテキストや画像、「ドロップ」がファイルの一時置き場になります。

Dropoverと併用できますか

呼び出し方が違うので競合しません。振って出す操作が気に入っているなら、そのまま併用しても構いません。

手を離せる、というだけのこと

ドロップ棚がやっているのは、突き詰めれば手を離せるようにすることだけです。

でも、掴んだまま操作できないという制約は、Macを使う限り毎日ぶつかります。そのたびにデスクトップを経由し、あとで片付け、片付け忘れる。1回あたり10秒の話ですが、これが積み重なってデスクトップが散らかり、「あとで消す」ファイルが増えていきます。

置いて、他のことをして、あとで出す。それだけで、ファイルの受け渡しは驚くほど気楽になります。