MacBookのキーボードは、よくできています。薄くて、静かで、打ちやすい。

でも、静かすぎると感じたことはないでしょうか。

長い文章を書いているとき。コードを書いているとき。手は動いているのに、返ってくる感触が少ない。書けている実感が薄い。図書館の静けさと、作業に乗っているときの静けさは、少し違う種類のものです。

メカニカルキーボードを使ったことがある人なら、この差はもっとはっきりします。あの「打った」という音が返ってくると、手の動きにリズムが生まれます。速く打っているとき、その音は自分の作業のテンポそのものになります。

でも、外付けのメカニカルキーボードは持ち歩けません。カフェでも、会議室でも、電車の中でも使えません。そもそも、あの音は周りにとってはただの騒音です。

タイピングサウンドは、その音を自分だけに返します。

この記事の中で、そのまま試せます

説明を読むより、打ってみた方が早いはずです。下の入力欄に何か打ってみてください。上のタブで音を切り替えられます。

Kata は、乾いた軽めの打鍵音です。速く打つときにリズムが出ます。Violet は、より低く落ち着いた音で、長時間の作業でも耳が疲れにくい傾向があります。

打ってみると気づくことがあります。音が返ってくると、打鍵が少し丁寧になる。無音のときより、指の動きを意識するようになります。

キーごとに、違う音が鳴っている

この機能は、打鍵のたびに同じ音を1つ鳴らしているわけではありません。

キーごとに、押した音と離した音が別々に用意されています。 a を押した音、a を離した音、enter を押した音、space を押した音、delete を押した音。修飾キーも、矢印キーも、英数・かなキーも、それぞれ独立しています。

なぜここまで分けるのかというと、実物のキーボードがそうだからです。スペースキーの音は他のキーより低く、大きい。Enterの音も違う。同じ音を繰り返すだけだと、打っているうちに「機械が鳴らしている音」だと気づいてしまいます。

押した瞬間と離した瞬間が別なのも重要です。実際のキーボードでは、押し込む音と戻る音は別に鳴っています。速く打つと、この2つが重なって独特の連なりになります。上のデモで速く打ってみると、その重なりが感じられるはずです。

何のために音を出すのか

「打鍵音がほしい」という感覚は、説明しにくいものです。生産性が上がるというデータを出せる話でもありません。

ただ、実際に効いていると感じられる場面はいくつかあります。

リズムができる。 一定のテンポで音が返ってくると、手が止まりにくくなります。文章を書いているとき、考え込んで止まる時間と、書き進めている時間の差が、音として自覚できます。

入力の確認になる。 音が鳴らなければ、そのキーは入っていません。キーボードの反応が悪いとき、音の欠けで気づけることがあります。

周囲の音を薄められる。 カフェの話し声やオフィスのざわつきの中で、自分の打鍵音が返ってくると、意識がそちらに向きます。ノイズキャンセリングとは別の方向から、集中を作る効果があります。

単純に気持ちがいい。 これがいちばん大きい理由かもしれません。道具の手触りが良いというだけで、作業に向かう気持ちは変わります。

周りには聞こえない、というのが本質

メカニカルキーボードの最大の問題は、音が自分だけのものではないことです。

オフィスで青軸を叩けば、確実に嫌がられます。カフェでも同じです。オンライン会議中なら、マイクが打鍵音を拾って相手に届きます。家族が寝ている夜も使えません。

タイピングサウンドはMacから出る音なので、イヤホンをしていれば完全に自分だけです。オフィスでも、カフェでも、深夜でも、会議中でも使えます。周りには一切聞こえません。

そして当然、キーボードを持ち歩く必要もありません。MacBookさえあれば、どこでも同じ打鍵感になります。

Klackとの違いと、値段の話

Macで打鍵音といえば、定番はKlackです。単機能で完成度が高く、音の質にもこだわったアプリです。

KlackMacSide AI Pro
価格¥798 買い切り¥280/月 または ¥9,800 買い切り
対象打鍵音に特化打鍵音は多数機能のひとつ

打鍵音だけが欲しいなら、Klackの¥798は非常に安いです。 ここは正直に書きます。この機能のためだけにMacSide AIを買う理由はありません。

MacSide AIのタイピングサウンドは、すでに他の機能のために入れている人にとってのおまけ、という位置づけが正確です。AIチャットやクリップボード管理やOCRのために入れたら、打鍵音も付いてきた。そういう順番の機能です。

小さなアプリを個別に買うか、まとめるか。どちらにも理があります。Klackで満足しているなら、そのままで問題ありません。

よくある質問

周りに音は聞こえますか

Macのスピーカーから出るので、スピーカー再生なら聞こえます。イヤホンやヘッドホンを使えば、完全に自分だけの音になります。

どのアプリで打っても鳴りますか

Mac全体で動作するので、エディタでもブラウザでもチャットでも、打鍵に反応します。

音の種類は選べますか

現在はKataとVioletの2種類です。この記事のデモで、どちらも試せます。

オンライン会議中に相手へ届きますか

イヤホンを使っていれば、マイクが拾うことはありません。スピーカーで再生している場合は、環境によって拾われる可能性があります。

動作が重くなりませんか

キーごとの短い音を再生する仕組みなので、通常の作業に影響が出るような負荷はかかりません。

道具の手触りは、成果には直結しない

正直に言えば、打鍵音があってもなくても、書ける文章の質は変わりません。コードの品質も変わりません。生産性が何%上がる、といった話でもありません。

でも、毎日何時間も触るものの手触りは、作業に向かう気持ちに確実に影響します。同じキーボードでも、音が返ってくるかどうかで、打っているときの感覚は変わります。

キーボードを買い替えるほどではないけれど、あの感触は少しほしい。持ち運ぶわけにはいかないけれど、外でも同じように書きたい。そういう人のための機能です。

上のデモで、しばらく打ってみてください。合うかどうかは、説明を読むより指で決まります。